研究課題/領域番号 |
19580346
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
中嶋 秀満 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (30405360)
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研究分担者 |
乾 隆 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (80352912)
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キーワード | 薬理 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 / アミロイド様繊維 / 酸化ストレス / GAPDH / 凝集 / トランスジェニックマウス |
研究概要 |
1.ヒトGAPDHのアミロイド様繊維形成の分子機序の解明(学会発表、投稿中) 本研究では、ヒトGAPDHの酸化ストレス誘発性凝集反応とアミロイド様繊維形成の分子機序を解析した。その結果、Cys152によるジスルフィド結合形成と、それに続くコンフォメーション変化およびベータシート構造増加が分子機序の実体であることを明らかにした。また、凝集に重要な分子構造として、Cys152以外にSer284を含む疎水性ループ構造を同定した。更に、そのループ構造の欠損変異体が凝集を生じないことを明らかにし、GAPDH凝集阻害剤の創薬作用点の可能性を示唆した。 2.ヒトGAPDHのアミロイド様繊維の神経毒性発現機構の解明(学会発表、投稿中) 本研究では、テトラサイクリン誘導型GAPDH過剰発現SH-SY5Y神経芽腫細胞を調製し、凝集およびアミロイド様繊維と神経細胞死との因果関係を明らかにすることを目的とした。その結果、野生型GAPDH発現細胞では細胞死は亢進し、凝集を生じないC152A-GAPDH発現細胞では細胞死が認められないこと、また、凝集が野生型よりも増強したS284C-GAPDH発現細胞では著しい細胞死が認められたこと、などから、GAPDHの凝集およびアミロイド化のプロセスが神経総胞死機序のひとつである可能性を示唆した。 3.GAPDHトランスジェニックマウスを用いた検討(学会発表、投稿中) 本研究では、高用量メタンフェタミン投与によるパーキンソン病様モデルを作製し、個体レベルでのGAPDHの神経変性における関与を検討した。その結果、GAPDHトランスジェニックマウスでは、野生型マウスと比較して線条体ドーパミン含量およびTH含量の有意な低下および著明なアミロイド様繊維形成が観察された。 4.GAPDHドミナントネガティブ変異体を用いた細胞保護効果の検討(学会発表、投稿準備中) 本研究では、繊維化を示さないGAPDH変異体の過剰発現による酸化ストレス性細胞死への影響を検討した。その結果、本変異体は内在性GAPDHにより駆動されるアミロイド様繊維化と細胞死を有意に抑制することが明らかとなった。以上の結果から、本変異体を用いた神経変性疾患への治療応用への可能性が示された。
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