アレルギー反応におけるマスト細胞の機能については広く調べられている。しかしながら、新たなマスト細胞機能の報告されたことから、マスト細部は適応免疫同様、自然免疫の調整においても重要な役割を担っていることが認識されるに至っている。我々はリポポリサッカライド(LPS)刺激されたマスト細胞での細胞増殖におけるIL-9の役割について調べた。マスト細胞増殖におけるIL-9の効果は、SCFが存在するときだけに見られた。マスト細胞は持続的にIL-9受容体を発現していることから、IL-9オートクラインによるマスト細胞の増殖が示唆される。一方、LPS刺激マスト細胞でのIL-9産生はIL3で促進される。MyD88DN発現プラスミドを導入したマスト細胞では、IL-9のルシフェラーゼ活性が阻害されたが、TLR-2DN発現プラスミドでは見られなかった。さらにIL-9産生が部分的にp38とERKのシグナル伝達経路によることを示すp38およびERKの阻害剤であるSB203580とPD98059処理によるIL-9産生の部分的に阻害が見られた。これらの結果は、IL-9がIL-3とSCFとともにLPS刺激によるマスト細胞増殖促進を調整し、微生物抗原に対する宿主の自然免疫応答において重要であることを示している。
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