1.リポソーム封入抗原の作製:Ehrlichia canisを犬マクロファージ由来株化細胞DH82で培養、ほぼ100%が感染したことを確認した後、細胞を剥がし、5、000xgで5分間遠心し、PBSに再浮遊後、同条件で遠心洗浄した。その後、細胞を超音波発生器で壊し、6、500xgで5分間遠心して細胞片を除いた。SephaclylS-1000 superfineで精製後、10、000xgで10分間遠心、PBSに再浮遊させてさらに超音波発生器で破砕した。10、000xgで10分間遠心後の上清を抗原とした。得られた抗原1mgをリポソームに封入し、リポソームワクチンとした。封入に用いた抗原を対照抗原として用いた。 2.犬への接種:ビーグル犬(7歳、雌)2匹ずつに、リポソームワクチンと、封入していない抗原を皮下接種した。対照として、2匹にPBSを、同様に接種した。 3.接種後の反応の確認:接種後7日目から、1週間毎に、頸静脈より採血を行った。バフィーコートを集めた後、0.83%塩化アンモニウムで赤血球を破壊して得られた白血球からRNAを分離し、realtimeRT-PCRでIFN-γ mRNAの発現を調べた。4週目でも反応が見られなかったため、追加接種を行ったところ、追加接種から2週目で、リポソームワクチン接種犬でmRNAの発現を認めた。また、白血球を抗原とともに培養した培養上清中にIFN-γを検出した。抗原のみを接種した犬では、抗体の上昇は認めたものの、このような反応は認められなかった。 4.結論:Ehrlichia canis抗原をリポソームに封入して犬に接種したところ、末梢血白血球にIFN-γ mRNAの発現を認めた。また、末梢血白血球に抗原を加えて培養することで、IFN-γの産生を認めた。これらの結果はリポソームワクチンが細胞性免疫を誘導する可能性を示唆するものである。今後、免疫犬に攻撃を行い、防御が成立するかどうかを確認する予定である。
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