研究課題
本研究は、免疫担当細胞への抗原搬送能に優れるリポソームにpH感受性膜融合能を持たせ、牛クリプトスポリジウム感染症予防に効果的なpH感受性膜融合リポソームワクチンの開発を目指した基礎的研究を目的として行われた。平成19年度においては、pH感受性膜融合リポソームについて検討するとともに、pH感受性膜融合リポソームによる免疫誘導実験を行い、下記の研究成果を得た。(1)pH感受性膜融合リポソームの調整:pH感受性膜融合脂質を新規に開発し、新規pH感受性膜融合脂質を再構成したリポソームの膜融合能を調べた。その結果、新規pH感受性膜融合脂質修飾リポソームは、高い膜融合能を示す事が明らかとなった。さらに、封入マーカーとしてFITC標識卵白アルブミン(FITC-OVA)を封入し、マウス樹状細胞株の細胞質内へのFITC-OVAの導入実験を行った。その結果、新規pH感受性膜融合脂質修飾リポソームは、樹状細胞質内へ効果的に封入抗原(FITC-OVA)を送達出来ることが示された。(2)pH感受性膜融合リポソームによる免疫誘導実験上記で明らかにされた樹状細胞内に抗原を送達できるpH感受性膜融合リポソームに、モデル抗原として卵白アルブミン(OVA)を封入し、免疫用リポソームを作製した。作製した免疫用リポソームをマウスに経鼻投与し、免疫応答について調べた結果、全身のみならず粘膜局所にも免疫を誘導出来る事が示された。また、誘導される免疫応答について解析した結果、液性免疫のみならず細胞性免疫の誘導が確認された。以上の結果から、免疫応答を効率良く誘導できるpH感受性膜融合リポソームワクチンが開発できる可能性が示された。
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Biomaterials 29
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