研究課題
ウシ乳房炎は生産動物の感染症において経済的損失が最も高く、畜産物の安全性を堅持する上でも大きな阻害要因となっている。その制圧は獣医畜産領域における重要課題であり、早期解決が求められている。乳房炎は、大腸菌や黄色ブドウ球菌など複数の病原微生物が関与する乳腺組織の感染症である。これらの原因菌は乳汁合成を阻害するとともに、乳汁に排菌された微生物は新たな感染源となる。さらに、微生物の認識に始まる乳腺免疫の活性化は、細胞性および液性免疫を誘導により、乳合成に関わる乳腺組織の恒常性を破綻させ、乳合成量の低下を招来する。本研究では乳腺免疫機構をin vitroにおいて再現することを目的に、乳腺上皮細胞と免疫担当細胞との三次元混合培養系を確立し、両者の相互作用を細胞生物学的側面(細胞内情報伝達系および機能発現・修飾)からの解析を試みた。本年度は混合培養において必要な白血球の乳汁および血液からの分離を行うと共に、その機能評価(活性酸素生成能/殺菌能)、白血球表面マーカーの検索,細胞内情報伝達系の解析を実施し、混合培養に必要な白血球の性状を明らかにした。さらにウシ乳腺組織からの乳腺細胞の分離・同定に関する基礎研究を実施し、分離条件等について明らかにした。これら一連の研究は乳房炎防除に関する生産獣医療の発展に大きく寄与し得るものと考えられる。一連の研究は実施計画に沿うものである。
すべて 2007
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