研究課題/領域番号 |
19580363
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
松尾 智英 杏林大学, 医学部, 講師 (50383667)
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研究分担者 |
藤野 隆志 杏林大学, 医学部, 助教 (50306677)
田中 みほ 帯広畜産大, 原虫研, 研究機関研究員 (80374776)
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キーワード | フタトゲチマダニ / 飢餓耐性 / ATG / 消化 / 中腸 / オートファゴソーム |
研究概要 |
オートファジーについては多様な生物において様々な機能が報告されているが、マダニにおいては数年以上に及ぶ彼らの一生を数日間の吸血3回程度で生存しうるという特徴的な飢餓耐性を支えるために消化管上皮で機能していることが強く示唆された。そこで、消化器官である中腸におけるマダニ自身の「生存基盤」となる消化のメカニズムを解明する一環として、(1)オートファジーがどのようなタイミングで起こっているかを明らかにし、それが(2)マダニ類の飢餓耐性に関してどのような役割を果たしているかを解明することを目的としている。 オートファジーはオートファゴソームと呼ばれる膜構造体によって自身の細胞質や細胞内小器官を包み込み、消化が行われる。他の生物において報告されている数多くのオートファジー関連遺伝子のうち、研究協力機関において確立されているマダニの臓器別ESTデータベースをもとに、そのオートファゴソーム形成に関わっていると考えられる重要ないくつかのホモログを確認した。さらにそれらの遺伝子は明らかにマダニの吸血後一定の時間を経過した飢餓状態の時に発現していることを明らかにし、これらは我々の仮説を十分に裏付けるものであった。また、そのうち特に重要と考えられるHlATG8,HlATGl2の2つの遺伝子の単離・同定およびそのタンパク発現も行い、それを抗原とした抗体を作成し、飢餓状態のマダニの中腸上皮細胞内の膜構造体における局在を免疫形態学的に明らかにした。今後、すでに同定した遺伝子やそのタンパク、さらに必要であれば新たなオートファジー関連遺伝子の検索を行い、それらの発現をより詳細に調べて中腸細胞内でのオートファゴソーム形成および消化の過程を明らかにすることで、マダニの飢餓耐性における機能を解明する予定である。
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