研究課題/領域番号 |
19580364
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
丹羽 光一 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (20301012)
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研究分担者 |
大山 徹 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (60318178)
渡部 俊弘 東京農業大学, 生物産業学部, 教授 (80175695)
小栗 秀 東京農業大学, 生物産業学部, 准教授 (70277250)
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キーワード | 感染症 / 獣医学 / 細菌 / ボツリヌス毒素 / 病体生理 |
研究概要 |
本研究は、ボツリヌス毒素複合体(TC;750kDa)がどのようにして腸管から吸収されるか、その仕組みを明らかにし、家畜とくにウシボツリヌス症の予防法の開発や畜産の生産性向上に寄与することを目的とする。平成19年度、申請者らは、ラット腸管上皮の細胞株であるIEC-6を用いて、ボツリヌスTCの結合・透過性を調べた。神経毒素単体(BoNT)とL-TC(BoNT+非毒非血球凝集素NTHA+血球凝集素HA)のIEC-6に対する結合量および透過量を調べたところ、HAを含むL-TCの結合量および透過量のほうが多かった。L-TCの細胞への結合は、N-アセチルノイラミン酸の添加および細胞のノイラミニダーゼ処理によるシアル酸切断によって抑制されたが、ガラクトースやラクトースの添加による影響は受けなかった。また、L-TCの透過量は、ガラクトースやラクトースの添加やN-アセチルノイラミン酸の添加ではほとんど影響を受けなかったが、ノイラミニダーゼ処理によって抑制される傾向が認められた。以上の結果から、小腸上皮細に対するにボツリヌスTCの効率的な結合および透過には、L-TCの構成成分であるHA成分が寄与していること、およびL-TCは細胞膜上のシアル酸に結合したのちに細胞を透過することが明らかとなった。また、BoNTおよびL-TCの血管内皮細胞への結合にもシアル酸が関与していることを明らかにした。これらの結果はボツリヌス毒素の腸管からの吸収が単糖の添加によって抑制出来る可能性を示唆しており、ウシボツリヌス症の予防法の開発のための重要な知見が得られた。平成20年はさらにTCあるいはHA成分と糖鎖との相互作用を明らかにするとともに、細胞膜上の受容体分子の本体を同定し、有効な予防法開発に役立てる。
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