研究概要 |
乳牛の多発疾病として分娩前後の低カルシウム(Ca)血症がある。これまで、我々は乳牛の消化管粘膜でのCa能動輸送に関与するCa輸送関連タンパク質の分布様式は牛特有のものであり、その機能は単胃動物と同様にvitamin D_3の生理活性型である1,25(OH)_2D_3に制御されることが明らかにした。一般に1,25(OH)_2D_3のCa輸送関連タンパク質への影響はvitamin Dreceptor(VDR)を介すると解されている。現在、牛のVDR geneの塩基配列は明らかであるが、このmRNA配列はNCBIでは4つのtranscript variantsの推定配列が示されているのみである。したがって、本研究では、牛の消化管粘膜材料を用いてVDR mRNAにおけるORF(Open Reading Frame)領域の塩基配列を明らかにすることを目的とした。 消化管疾恵を有さない牛12頭から十二指腸粘膜材料を得た。粘膜材料は、ジャージー種5頭(雄)ならびに黒毛和種(雄)2頭の子牛7頭(3〜6ヵ月齢)からは安楽殺たよって、ホルスタイン種(雌、24〜134ヵ月)5頭からは外科的生検によって採取した。定法に従い、Total RNA抽出、cDNA合成を行った。PCRに際して、公開のtranscript variantsでは中間部の約200-bpが異なるため、この前および後方の一致領域ならびに中間不一致領域をまたぐ領域の3領域を増幅するprimerを設計した。PCR産物を精製後、ダイレクトシークエンスに供した。その結果、12頭全てのORF領域の塩基配列は同一であり、これはNCBI公開のtranscript variantsのうちの一つ(GenBank accession no.XM_613129)と一致していた。
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