平成20年度には、イヌの神経軸索ジストロフィーにおける膨化神経突起に、シナプス関連物質(シナプトフィシン)、細胞骨格関連蛋白(リン酸化ニューロフィラメント、Tau蛋白、α/βシヌクレイン等)、およびカルシウム結合蛋白(カルビンディン、ガルモジュリン、パラバルミン等)の凝集をそれぞれ明らかにし、これらの結果を取りまとめ海外の学術雑誌に公表した(VetPathol.2009hpress)。検索の結果、パピオン犬の神経軸索ジストロフィーでは、シナプスの機能異常により、これらの分子がシナプズ内に凝集し、特徴的な軸索球(スフェロイド)を形成するものと予想された。 また神経軸索ジスト血フィー、小脳皮質アビオトロフィー、およびその他の変性性中枢疾患における小脳プルキンエ細胞と顆粒細胞の細胞脱落のメカニズムを知る目的で、病変部におけるTUN肌染色により、これらの細胞におけるアポトーシスの有無を明確にすると同時に、活性型カスパーゼ3やP53などの基本的なアポトゴシス関連分子について免疫組織化学的手法などにより検索し、本疾患における神経細胞アポトーシス経路などについて検索している。これらのアポトーシス関連の研究と同時に、各疾患における脂質過酸化についても検討しているが、この細胞傷害経路については、十分な知見が得られていない。平成21年度は、本研究の最終年度にあたるため、特に各種変性性疾患における1」・脳プルキンエ細胞と顆粒細胞の細胞死の経路に焦点をあててデータを取りまとめると同時に研究全体を総括したいと考えている。
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