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2009 年度 実績報告書

動物の小脳脊髄変性疾患の病理発生解明と生前診断のための基礎研究

研究課題

研究課題/領域番号 19580371
研究機関東京大学

研究代表者

内田 和幸  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (10223554)

キーワードイヌ / 小脳皮質アビオトロフィー / 神経軸索ジストロフィー / セロイド・リポフスチン症 / アポトーシス / ネクローシス / 炎症反応
研究概要

平成21年度には、イヌの小脳皮質アビオトロフィー、神経軸索ジストロフィー、神経セロイド・リポフスチン症等の小脳変性(萎縮)を示す疾患複数例について、その小脳神経細胞脱落のメカニズムを解明する目的で、それぞれの症例の小脳組織を比較検討した。通常の組織検索では小脳細胞の脱落程度が疾患ごとに小脳虫部と片葉で明瞭な相違が存在することが明らかになった。また種々の特殊染色により、アポトーシス細胞(TUNEL法、活性型カスパーゼ3免疫染色等)の程度、星状膠細胞増殖(GFAP免疫染色)、小膠細胞/マクロファージ浸潤増殖(HLA-DR免疫染色)、およびT細胞浸潤(CD3免疫染色)の程度をそれぞれ評価した。その結果、小脳皮質アビオトロフィーの小脳では、カスパーゼ3陽性細胞が最も多く、セロイド・リポフスチン症では殆ど陽性細胞が観察されなかった。これに対し炎症性細胞であるT細胞浸潤や小膠細胞/マクロファージの浸潤増殖程度はセロイド・リポフスチン症で最も重度であり、小脳皮質アビオトロフィーでは最も軽度であった。神経軸索ジストロフィーの症例では、アポトーシスと炎症細胞浸潤程度のいずれもその他の2疾患の中間的数値を示した。この結果より、小脳皮質アビオトロフィーにおける小脳細胞脱落は主にアポトーシスにより生じており、セロイド・リポフスチン症における小脳細胞脱落の過程には炎症反応が深く関与することが示された。神経軸索ジストロフィーにおける小脳細胞の脱落には、アポトーシスの他、ネクローシス等の機構も複雑に関与すると予想される。これらの結果は日本獣医学会で口頭発表すると同時に、英文論文として既に取りまとめを行い、学術雑誌での公開のために既に投稿し現在審査中である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Neuronal ceroid-lipofuscinosis in long-haired Chihuahuas : clinical, pathological and magnetic resonance imaging findings2010

    • 著者名/発表者名
      Nakamoto Y., Yamato O., Uchida, K., (他7名)
    • 雑誌名

      J.Am.Anim.Hosp.Assoc. (印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Immunohistochemical features of dystrophic axons in Papillon Dogs with neuroaxonal dystrophy2009

    • 著者名/発表者名
      Nibe K., Uchida K., Nakayama H.
    • 雑誌名

      Veterinary Pathology 46

      ページ: 474-483

    • 査読あり
  • [学会発表] イヌの神経軸索ジストロフィー、小脳皮質アビオトロフィーおよび神経セロイド・リポフスチン症における小脳変性に関する病理学的研究2009

    • 著者名/発表者名
      二瓶和美, 中山裕之, 内田和幸
    • 学会等名
      第148回日本獣医学会
    • 発表場所
      鳥取大学
    • 年月日
      20090900

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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