本研究の主目的は、犬の体格による左室収縮様式の違いを、スペックルトラッキングイメージングによる2Dストレイン法を用いて評価することである。臨床上健康な正常犬の左室の収縮期の歪み(ストレイン)や回転運動を計測し、体重別(大型犬、中型犬、小型犬)で比較した。結果、大型犬におけるストレインの指標の多くは小型犬および/あるいは中型犬と比較して有意に低下していた一方で、心拍出量は各群間に差は認められなかった。このことから、大型犬のストレイン指標の低値は収縮機能低下と考えるよりは、心臓の大きさ自体が幾何学的に有利であることから短軸方向に収縮する必要がないと考えるべきであることが示唆された。
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