成熟白内障を呈したイヌのレンズ上皮細胞にSV40T抗原をトランスフェクションし、細胞株(cdLEC)を樹立した。現在まで150代以上にわたり、安定した増殖能の獲得が示されている。抗αBクリスタリン抗体を用いたウェスタンブロットおよび細胞染色より、この細胞株がレンズ上皮細胞の特性をよく維持していることが確認された。今後この細胞株を用いることで、これまで量的な面で困難であったレンズ上皮細胞の生理学的機能検討が可能となった。白内障を呈した個体のレンズ上皮からの株化は例がなく、本研究テーマで樹立したcdLEC株が今後白内障発症メカニズム解明に重要なツールになる可能性が高い。
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