研究概要 |
供試土壌にける2,4-Dおよび2,4,5-T分解菌の多様性を把握するため、培養法により多種類の分解菌を単離、同定するとともに、非培養法により分解菌を含む微生物の群集構造を調べた。その結果、10種類の土壌から353株の分解菌ができ、3つの主要なグループBurkholderia(43%)、Sphingomonas(40%)、Ralstonia(15%)と2つの少数のグループBradyrhizobium(0.8%)、Nocardioides(0.3%)からなることを明らかにした。それらは地理的に特徴ある分布をし、一つの土壌中に複数種の分解菌が共存していた。土壌から直接DNAを抽出して、16S rDNAのPCR-DGGE法により微生物の群集構造を解析した結果、単離した分解菌のバンドが優占していた場合が多かったが、同じ土壌から単離された複数種の分解菌の中には優占するものとしないものがあった。単離した分解菌以外でバンドが優占した微生物の単離を試みた結果、Frateuria sp.に近縁な細菌が単離できたが、この菌は2,4-Dおよび2,4,5-Tのいずれも分解できなかった。 土壌中の分解菌を含む微生物群集の挙動を非培養法により把握することができた結果、分解菌でも優占する菌としない菌がいること、分解菌でなくても優占する菌がいることが分かり、さらに、それらの一部については単離することができたので、今後、これらの菌を用いることにより、土壌中におけるそれらの相互作用や環境因子の影響を調べることが可能となる。
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