研究概要 |
土壌への2,4-D添加後に増殖する2,4-D分解菌の多様性および遷移を把握するため、培養法により分解菌の単離、同定を試みた。また、土壌の微小環境における2,4-D分解菌の挙動について供試土壌を少量にすることで検討した。しかしながら、保存してあった土壌中の2,4-D分解菌密度は低下しており、少量の土壌では分解が認められなかった。 そこで、新たに土壌を採取し、実験を行った結果、2,4-Dの速やかな分解が認められ、分解時にはこれまでに2,4-D分解菌として報告されているBradyrhizobium属細菌に近縁なAfipia属細菌が優占して単離されたが、これらの菌を含めていずれの単離菌も有機物や2,4-Dの濃度を変えた種々の培養条件下においても2,4-Dを分解することはできなかった。 これらの2,4-D非分解菌が優占したことにより、2,4-D分解菌が単離されなかったことが推察されるが、2,4-D非分解菌が増殖した原因は今のところ不明である。以上の結果は、2,4-D非分解菌の挙動が分解菌の挙動に影響を及ぼす可能性のあることを示唆している。今後、これまでに単離された複数種の2,4-D分解菌およびこれらの2,4-D非分解菌を用いることにより、土壌中におけるそれらの相互作用や環境因子の影響を土壌の微小環境を考慮しながら調べることが可能となる。
|