九重・阿蘇地域に生息する希少昆虫および植物の多くは、人々の生活に密接にかかわりながら生きながらえてきた。同地域の草原の里山としての利用価値の低下は、管理放棄を招き、草原環境を悪化させ、絶滅危惧昆虫、植物など草原の構成種を減少させてきた。本研究により、オオルリシジミをはじめとした草原性チョウ類および植物を後世に受け継いでいくために必要な保全技術を開発することえを目的として、本年度は、次の3つについて研究を実施し、以下のような成果が得られた。 1. 管理放棄草地に侵入ししているメダケ林の植生および個体群構造に関する基礎的調査を実施し、成果を日本草地学会において発表した。 2. 放牧圧がオオルリシジミの生息に及ぼす影響について調査し、一定以上の放牧圧でも一定以下の放牧圧でも食草であるクララの生育に悪影響を及ぼし、本種にとって好ましくない環境になることが明らかになり、結果を日本鱗翅学会誌に発表した。 3. 九重阿蘇地域における希少な草原性チョウ類の生息状況に関する基礎的著すあを実施し、主な生息地の状況を明らかにした。結果については、現在とりまとめ中である。 これらの結果は、希少な動植物の保全や観光資源や放牧地としての草原の維持管理を互いに矛盾のないような形で実施していくために必要な同地域の保全策を策定する上で重要な資科を提供しており、最終年度には、結果をとりまとめ、矛盾内保全策を提示する予定である。
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