研究概要 |
研究計画書に記載した通り,本年度は,最終年度にあたる.従って,学会誌への研究成果の投稿,国内の学会における発表に力点を置いて研究を遂行した.その結果,学会発表2件を実施し,現在,学会誌に2報投稿中の状況である.加えて今後,本研究成果として数件の論文を公表する予定であり,野外調査を中心とした研究としては,着実な成果をあげつつあると考えている. 研究成果の公表は,地元メディアや地方公共団体における講演を毎年実施し,本年度も阿蘇市の野生生物保護委員会における講演の他,宮崎県,大分県,長崎県の高等学校における講演を実施し好評を博した.日本鱗翅学会のRDリストの見直し作業にも携わり,本研究成果の一部を利用することができた. 本年度の研究計画書に記載した6項目のうち,これまでの本研究成果や九重・阿蘇地域について既に公表されている希少な動植物の生息状況ならびにその生態に関する報告を総合的に分析し,草原の現状をランクわけして,今後の総合的な保護策を提示するたあに必要な知見をまとめることができた.また,草原性チョウ類の食草の分布については,ほぼ調査を終了し,同地域における保護策策定のための重要な資料を得ることができた.また,数種の草原性チョウ類の食草については,その生理学的,栽培学的知見を得ることができた.草原性チョウ類の移動距離に関する実験・調査についても重要な知見を得ることができた.これらの成果を基に本研究の最終報告書では,同地域の草原における主要な産業である牧畜に影響を与えることなく,同地域の草原に生息する希少な草原性チョウ類や希少な植物を保護する保護策を提言する.
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