研究概要 |
既に製作済みの試作機で得られたガスクロマトグラフ保持時間にもとつくシミュレーション計算を活用して、さらなる好適条件を検討した。当初の研究計画では、以下のような改良ポイントを想定した。1:これまで分離特性の面から扱いが困難であったキャピラリーカラムの活用も検討する。2:ガスクロマトグラフ恒温槽を1槽化(従来は2槽)の可能性について検討する。3:電子捕獲型検出器(ECD)による高感度の亜酸化窒素(N_2O)検出について、より一層の好適条件を、温度、流量、メークアップガス混合比等の組み合わせによって検討する。4:メタン(CH_4)検出に使用する水素炎イオン化検出器(FID)に替わる検出器(脚注参照)(PID、PDDなど)の使用可能性を検討し、性能を比較する。5:注入方法について、従来の既製のガスクロマトグラフ部品のみならず、効率的な手法について検討し、試料の注入過程の効率化をはかる この中で、平成19年度計は、改良ポイント1,2について特にシミュレーション計算によって検討した。1については、分離能そのものの性能では、充填カラムの優位性は変わらなかったが、3段分離のうち1段ないし2段目を充填カラムとし、最終段をキャピラリーカラムとする(この最終段にはPoraBOND Q25m 0.53μmというものを使用する)手法について、可能性があること結論した。この改良によって、検出器に進入する際のピークシグナルが大幅にシャープとなることが期待される。実際の適用については20年度に実施し、これを使用した上で、3〜5についての適用性についても検討する予定である。また、2については、2段目の充填カラムの温度条件如何にかかわる問題で、恒温槽全体を100℃〜120℃にすれば、1槽での3成分分離も可能とシミュレーションしたが、これについても、20年度に実際に検証する。
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