温室効果ガス3成分同時分析法の改良のため、課題開始時に掲げた具体的な、分析手法改良ポイント(5点)を以下に再列挙する。 1:これまで分離特性の面から扱いが困難であったキャピラリーカラムの活用も検討する。 2:ガスクロマトグラフ恒温槽の制御方法について、より省スペースな方法を検討する。 3:電子捕獲型検出器(ECD)による高感度の亜酸化窒素(N20)検出について、より一層の好適条件を、温度、流量、メークアップガス混合比等の組み合わせによって検討する。 4:メタン(CH4)検出に使用する水素炎イオン化検出器(FID)に替わる検出器(脚注参照)(PID、PDDなど)の使用可能性を検討し、性能を比較する。 5:注入方法について、従来の既製のガスクロマトグラフ部品のみならず、効率的な手法について検討し、試料の注入過程の効率化、低コスト化をはかる。 上記のポイントを踏まえ、平成21年度は、過去2カ年で残された課題である5の試料自動注入について試作をさらに進めた。試料びんの重力式搬送機構と空圧駆動のガス注入シリンジ動作、回転式試料びん装填等の機構を見直した結果、エラー率(分析中に誤動作等で停止する等のトラブル)は、大幅に縮減し、従来の100回に1度から500回に1度程度まで向上した。残る課題は、ビンの個体差から生じる搬送動作の不安定さであるが、これは次期研究課題において解決したい。
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