研究分担者 |
山口 紀子 独立行政法人農業環境技術研究所, 土壌環境研究領域, 主任研究員 (80345090)
藤原 英司 独立行政法人農業環境技術研究所, 土壌環境研究領域, 研究員 (20354102)
森 也寸志 島根大学, 生物資源科学部, 助教授 (80252899)
関 勝寿 東洋大学, 経営学部, 准教授 (40313069)
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研究概要 |
本研究は,土壌中のコロイド粒子に強く吸着される性質を持つ天然の放射性元素7Be,137Cs及ひ210Pbをコロイド粒子のトレーサーとして用いることにより,現場土壌中におけるコロイド粒子の輸送時間及び起源を推定する手法を開発することを目的とする。本年度は,愛知県内の砂質(砂礫質〜砂質埴壌土)台地土の野菜畑(化成肥料連用区と豚糞堆肥連用区)と新潟県内の粘土質低地土のダイズ畑を対象に,深さ1mまでの土壌を深さ1〜10cm間隔で採取し,風乾土(径2mm篩別)に含まれる各放射性元素濃度1:2.5水抽出懸濁液中の溶質濃度等の鉛直分布を明らかにした。 バルク土壌中に含まれる各放射性元素7Be,210Pb-ex(大気降下物由来の210Pb)及び137Csの濃度は,両地点とも表層で高く,砂質台地土では,それぞれ,0〜8,15〜25及び0.4〜0.8Bq/kg,粘土質低地土では,それぞれ,0〜100,160〜210及び10〜14Bq/kgと砂質台地土壌に比べて1オーダー以上高い値を示した。作土層中の7Be濃度は,両地点とも最表層ほど高かった。作土層中の210Pb-ex及び137Cs濃度は,砂質台地土ではほぼ一定値を示したが,粘土質低地土では,137Cs濃度はほぼ一定であったのに対して,210Pb-ex濃度は最表層ほど高かった。これら両地点における放射性元素濃度鉛直分布の大きな差は,土壌採取時期が春先であったこと(冬期は日本海側で降水由来の7Be降下量が多く,太平洋側で少ない),一般に日本海側では大陸由来と考えられる210Pb及び137Csの大気降下量が多いことと密接に関係すると考えられる。水抽出懸濁液の電気伝導度(EC)は,砂質台地土で高く(0.1〜0.2dS/m),非常に高いリン酸イオン濃度(0.4〜2.1mmol/L)を示した。粘土質低地土のEC値は0.02〜0.1dS/mと低かった。
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