バイオ燃料は、エネルギー問題、環境問題、地域開発、余剰農産物対策として、米国・ブラジルをはじめ世界中で導入・普及が進められている。本研究では、基礎的課題として、米国、ブラジル、中国、マレーシア、インドネア、インド等におけるバイオ燃料導入の社会経済的背景と政策動向について調査・分析を行った。さらに、これらの調査・分析を踏まえ、主要国におけるバイオエタノール政策が農産物需給に与える影響を試算するために「世界バイオエタノール需給予測モデル」モデルを開発した。さらに、これまで開発した「世界砂糖需給予測モデル」、「世界とうもろこし需給予測モデル」を「世界バイオエタノール需給予測モデル」にリンクして、米国及びブラジルのバイオ燃料政策が国際農産物需給に与える影響を試算した。また、米国のバイオエタノール需要が国際とうもろこし需給に与える影響についてもこれらのモデルを活用して試算を行った。この影響試算の結果、2007/08年度の国際とうもろこし価格におけるバイオエタノール需要の影響は22.2%と推計された。 また、バイオ燃料の導入に際する環境負荷発生量と地域経済効果の計測を行い、これをもとにバイオ燃料の環境効率を計測した。分析では、バイオ燃料産業の創設による経済の活性化が環境負荷の増大をもたらすことを前提に、環境負荷発生を極力抑制しつつ地域経済への影響を最大限確保することができるかを明らかにすることを試みた。 分析の結果、ガソリンと比べ、バイオ燃料(E3)の環境効率は約3倍で、バイオ燃料部門は石油製品部門に比べて、高い地域経済効果をもたらしつつ環境負荷の増大を抑制していることが明らかになった。
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