本研究では、世界中で導入・普及しているバイオ燃料の生産・普及動向について、国際的影響を把握し、国内のバイオ燃料促進政策について、農産物需給への影響と環境への影響を包括的に分析することを目的としている。 まず、21年度では、世界主要国・地域におけるバイオ燃料政策の動向・需給動向等について、米国、ブラジルを対象にバイオ燃料政策形成の社会経済的要因の分析を含めた調査・分析を引き続き行った。特に、米国やEU等の先進国地域を対象にセルロース系原料由来の「第2世代型バイオ燃料」等の開発動向および政策支援動向についても引き続き、調査・分析を行った。 つぎに、世界のバイオ燃料需給を対象とした「世界バイオ燃料需給予測モデル」を新たに開発し、バイオ燃料政策動向が、とうもろこし、砂糖、大豆および大豆製品の国際需給に与える影響を試算した。さらに、課題1からの調査・分析により得られた調査・分析を用いて、第2世代型バイオ燃料の開発状況が国際バイオ燃料需給を通じて、農産物需給に与える影響予測を行った。 また、バイオ燃料生産の導入によりバイオ燃料を生産する地域およびバイオ燃料に代替されるガソリンを生産する地域における環境と地域経済への影響を、地域間産業連関表と環境効率指標(CO2効率)を用いて分析した。その結果、バイオ燃料を導入することがバイオ燃料を生産する地域だけでなく、バイオ燃料に代替されるガソリンを生産する地域の環境効率の改善にも結びつくことが示された。
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