研究課題
哺乳動物精巣特異的ポリAポリメラーゼTPAP(PAPOLB)は、特定mRNAの球状精細胞特異的なポリA鎖を行う。その欠損マウスでは、特定mRNAの球状精細胞特異的なポリA鎖伸長がおこらず、精子形成不全に至る。今年度は昨年度に引き続き、TPAPによるポリA鎖伸長機構や精子形成不全を引き起こす分子機構について解析を行い、以下のような成果を得た。また、精巣特異的ポリA鎖結合タンパク質についても検討した。1.標的mRNAである転写因子TFIIAγやTRF2の3'非翻訳領域を用いたアフィニティークロマトグラフィーを行った結果、RNA結合タンパク質HuRを含むいくつかの分子が結合した。現在、これら因子の同定を続けている。また、精巣特異的な機能をより明確にするために、TPAPを恒常的に発現するような培養細胞株を確立した。2,TPAP欠損による精子形成不全は、球状精細胞細胞質でのポリA鎖伸長不全による翻訳量の減少に起因すると考えられる。そこで、球状精細胞期までしか精子形成が進行していない26日齢の野生型とTPAP欠損マウス精巣のプロテオーム解析を行った。その結果、Adenylatkinaseを含むいくつかのダンパク質がTPAP欠損マウスで減少していることが明らかとなり、さらに解析を続けている。3.精巣特異的ポリA鎖結合タンパク質PABPC2について解析を行った。その結果、PABPC2はパキテン期精母細胞と球状精細胞に存在し、伸長精細胞では消失すること、翻訳が行われているポリソーム画分には存在しないこと、またクロマトイドボディとよばれるRNA穎粒に局在することが明らかとなった。これらの結果より、PABPC2はPABPCIと異なり、翻訳抑制的に機能することが推測された。
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http://www.agbi.tsukuba.ac.jp/~tblab/