研究課題
オオバコモザイクウイルス(PIAMV)の感染植物内での複製精度を測定する系を確立するに先立ち、RNAウイルスの感染植物内でのゲノムの多様性を比較するため、本年度も複数のRNAウイルスのゲノム塩基配列の解析を行った。まず、2分節ゲノムを持つコモウイルス属のダイコンひだ葉モザイクウイルス(Radish mosaic virus;RaMV)のカリフォルニア分離株のRNA1とRNA2のゲノム塩基配列を決定した。昨年度に決定した日本分離株の塩基配列と比較したところ、その相同性は95%以上であり、両分離株が同種であることが確認された。また、両分離株の塩基配列の相同性は、RNA1に比べてRNA2、その中でも特に3'側のゲノム領域において顕著に低かった。この知見は、2分節ゲノムを持つウイルスの複製精度が分節間で異なる可能性を示唆しており、RNAウイルスの複製精度を解析するうえで非常に興味深い。さらに、世界中で被害を及ぼしている重要病害であるイネいもち病菌に感染している二本鎖RNAウイルスのゲノム塩基配列を決定し報告した。これらの塩基配列の解析結果は、RNAウイルスのゲノムの多様性に関する知見を深めることとなり、今後の解析に寄与するところは大きい。並行して、RNAウイルスに対する抵抗性機構として知られるRNAサイレンシングに関する研究も行った。その結果、PIAMVを含むポテックスウイルスは、TGBplという同一のタンパク質によりRNAサイレンシングを抑制しているものの、抑制のレベルはウイルス種により異なることが明らかになった。以上の結果は全て論文として発表した。
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Journal of General Virology 90
ページ: 1014-1024
Archives of Virology 153
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