我々は、致死的な心血管イベントを引き起こす血管攣縮(血管の異常収縮)の原因分子として、スフィンゴシルホスホリルコリン(SPC)とFynを同定し、その病的シグナル伝達経路を明らかにしてきた。本研究では、心血管の異常収縮を特異的に抑制する物質の探索を目的とし、病的シグナル伝達の反応の場と考えられる細胞膜上のマイクロドメイン「膜ラフト」と血管異常収縮の関連性についても検討した。その結果、血管の正常収縮には影響を与えず、SPCによって引き起こされる異常収縮のみを特異的に抑制する新規物質として、数種類の脂肪酸類、ポリフェノール類、植物抽出成分などを見出すことができた。
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