研究概要 |
これまでに合成を行ってきたビスグアニジン型塩基について、その構造について密度汎関数法を用いた理論計算を行った。さらに,これらについて詳細なアプローチを行い,プロトンスポンジなどの既存の強塩基と比較して,より強い塩基性を有することを示唆する結果を得た(論文2)。一方,酸性分としてカルボン酸以外のリン酸やヒ酸などの無機酸に対するオルトビスグアニジノベンゼンとの相互作用について知見を得るために,ポリマーに固定化したビスグアニジンを新たに合成し,これらについての各種酸性分の取り込み実験を行ったところ,期待したとおりヒ酸などの酸性分と効果的に結合することを明らかにし,東南アジア等で問題になっているヒ酸中毒の解決の糸口を見出した(学会等で発表)。その他,光学活性なグアニジンを用いた不斉反応を検討した。特に,これまでに開発してきたキラルグアニジンのベンゼン環上にメチル基を導入したトルイル型キラルグアニジンを用いた場合,イミノ酢酸エステルとアクリル酸エチルとのMichael付加反応において,既存のグアニジンと比較して反応の加速がが見られた。このことについて,学会発表,および論文発表(論文3)を行った。さらに,オルトビスグアニジノベンゼン(BG)と安息香酸(BA)の複合体(1:1,1:2,1:3,1:4)を合成し,これら複合体の高分解能NMR ECA-600(4mmCP-MSプローブ)を用いて測定を始めた。詳細は,平成20年度引き続き行う予定である。
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