申請者が開発した可視光酸素酸化反応の実用化を目指し、従来の光源が有する問題点を一気に解決し、ヒトと環境に優しい可視光酸素酸化反応の実用化を可能にする反応システムの開発を行った。初年度は、ミリモルスケールにおける検討を行うために少量合成用フローシステムの設計・作成を行った。すなわち、光源に各種発光ダイオード(LED)、反応容器として反応溶液への光吸収効率をアップさせるためにマイクロキャピラリーを用いたマイクロフローシステムを作成し、基質として芳香環上メチル基や各種アルコール類の反応を行った。 1)可視光(白色)発光ダイオード(NSPW500CSおよびNGPWR70ASS)を用いた場合: ブロムソースとして、バルク反応において良好な結果を与えた48%臭化水素酸およびCBr4/nBu3Pを用いて、省エネ型のNSPW500CSおよび高出力型であるNGPWR70ASSを用いて検討を行ったが、いずれも原料回収に終わった。 2)紫外光発光ダイオード(NS375L-5RLO・NS375L-5RLL)を用いた場合: 可視光LEDでの結果が芳しくなかったことより、反応の確認のために、よりエネルギーの高い紫外光を発光できる狭角型UV-LED(NS375L-5RLO)と広角型UV-LED(NS375L-5RLL)を用いて検討を行った。その結果、ブロモソースとして48%臭化水素酸を用いた場合に、少量ながら酸化体である4-tert-butylbenzaldehydeを得ることができた。 現在、再現性および収率の向上を目指してシステムの改良検討を行っている。
|