研究概要 |
ミリモルスケールにおける検討結果をそのまま大量スケールへ生かせるように,マイクロリアクターの手法を取り入れる。反応容器をマイクロリアクター化させ指向性の高いLEDを用いれば、反応溶液への照射効率が大幅に上がり、照度が問題となるLEDでも高収率で目的物が得られるものと考える。マイクロリアクターは個々の生産能力は小さいが、装置のサイズが非常に小さいため、同システムを並列に多数並べることが可能であり、それだけで大量合成が実現可能となる。 具体的には4-tert-butyltolueneを基質に用い、生成するカルボン酸の収率を指標に、反応試剤の面からと反応システムの面からの両面から検討を行った。まず、反応性の高い紫外線LEDランプ(ナイトライドセミコンダクター製NS375L-5RLO,375nm)を光源に用いて検討を行った。反応速度向上のために、試料溶液と酸素の導入速度を変えることによる気液混合パルス流形成を試みたが、再現性良い条件を得るには至らなかった。そこで、市販のマイクロリアクターおよび2液混合型マイクロチップを新たに購入し、上記と同様の条件で検討を行った。その結果、気液混合パルス流については再現性良く形成(流路通過時間約5分)することが出来るようになったが、各種ブロムソース存在下では反応の進行は観察されず、原料回収に終わった。そこで、光増感剤であるアントラキノン類を用いて検討を行ったところ反応の進行が観察され、NMRの積分値から算出した収率では、おおよそ40%の4-tert-butylbenzaldehydeが生成していることが分かった。まだ、目的生成物であるカルボン酸に関しては満足のいく収率で得ることは出来ていないが、反応流路、溶液の送液速度、LED照射法等を詳細に検討することにより、より効率的に得ることが可能になると考えている。
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