研究概要 |
すでにトリメチルシリルジアゾメタン(TMSCHN_2)のリチウム塩とアルデヒドを反応させるとアルキリデンカルベンを経てアセチレンが収率良く得られることを明らかにしている。本友応をアリールおよびヘテロアリールアルデヒドに適用し、生成したアセチレンを単離することなく、ブチルリチウムでアセチリドとし、次いでアルデヒド、ワインッレプアミド、DMFなどの親電子剤を反応させると1-potで官能化されたアリールおよびヘテロアリールアセチレンが合成できる一般法を確立した。本合成法はヘテロアリールアルデヒドから官能化されたヘテロアリールアセチレンを効率よく合成できる特徴を持つ。 次に,前年度においてTMSCHN2のマグネシウムブロミド塩と(2-メトキシフェニル)(オキソ)アセテートを反応させるとアルキリデンカルベン、オキソニウムイリドを経てベンゾフラン-3-カルボキシレートが得られることを明らかにした。しかし2位にメトキシ基を持たないアリール(オキソ)アセテートを基質に用いると、アリールプロピオレートへ容易に変換できることを見出し、その一般合成法を確立した。 またTMSCHN2のリチウム塩とβ-アミノケトンを還流下に反応させると、生成したアルキリデンカルベンのN-H挿入反応が起こり、ジヒドロピロールが得られることを明らかにしている。しかし、反応条件を種々検討した結果、-78℃で長時間反応を行うとアルキリデンカルベン発生とは異なる経路で進行する事を見出した。すなわち分子内でN-アルキル化が起こり、ピロリジン誘導体が得られることを見出し、その一般合成法を確立した。
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