近年、細胞表層に存在する糖タンパク質や糖脂質などの糖鎖が細胞間の認識現象に深く関与する分子種であることが明らかとなり、特に高等動物より見出された糖鎖の化学的、生物学的研究が盛んに行われている。一方、無脊椎動物より見出された糖鎖構造はほ乳類の糖鎖構造とは大きく異なっているが、単離・構造決定にとどまり機能解明にまで至っていない。そこでこれら無脊椎動物由来の糖鎖構造と生物機能に興味を持ち、化学合成を行うことで機能解明を目指している。今回、寄生虫であるエキノコックス、マンソン住血吸虫、ブタ回虫、イヌ回虫及び接合菌より見出された糖鎖の化学合成を行い、20種類以上の目的化合物を得た。
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