研究概要 |
求核性の低いジルコノセン錯体(特にアルケニルジルコノセン錯体)を求核種として一価銅触媒([Cu(CH_3CN)_4)]PF_6)存在下,不斉配位子としてスパルテインあるいは置換BOX配位子を用い、さらにアシル化剤(CICOOEtあるいはBoc_2O)の共存下においてアルケニルジルコノセン錯体が環状イミン誘導体にエナンチオ選択的付加をすることを見出した(Tetrahedron Letters2009,50,587).生成物は生理活性の期待できる1-置換テトラヒドロイソキノリン誘導体であり、しかも光学純度が高く得られることを明らかにしている。一方,カチオン性ロジウム錯体を触媒としプロパルギルアニリン誘導体からのインドール骨格の一段階での構築を明らかにし,報告(Angewandte Chem. Int. Ed2007,46,3931)したが,その反応機構を明らかにすべく詳細なNMR実験を行い実際の活性触媒の構造およびそれら生じた触媒による活性化機構を明らかにした.さらに、より簡便な本インドール合成への応用展開として,アニリンおよびプロパルギルハライドおよびロジウム触媒の存在で一挙にインドール誘導体を与えることを明らかにした(J.Org.chem.2009,74,1517).今後,上記新知見の応用展開を計り有用な生理活性物質の合成を検討していく.また,アルキン-カルボニルのメタセシス反応,続くNazarov環化反応により,天然物あるいは医薬品等の重要な合成原料となるインダノンの効率のよい生成を明らかにし報告した(Organic Letters2008,10,1783).
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