研究概要 |
光線力学的療法(<p>___hoto<d>___ynamic <t>___herapy: PDT)とは、がんに集積性を示す光増感剤とレーザー光照射による光化学反応を利用した局所的治療法である。本研究では、生体成分でしかも光増感剤になり得るプロトポルフィリンIX (protoporphyrin IX:PpIX)のがん細胞中の濃度を増加することができれば、PDTの治療効率を飛躍的に向上させることが可能ではないかと考え研究を遂行した。平成20年度は、複素環系2座及び6座配位子の合成を継続して行うとともに、鉄錯体形成能の評価やヒト組織球性腫瘍細胞U937を用いた活性評価をおこなった。得られた結果は、以下の通りである。1、5,6-ジヒドロ-2-フェニル-4-ピリジンカルボン酸とスペーサーとトリス(2-アミノエチルアミン)から成る6座配位子の合成に成功した。2、2-アミノメチル-3-ヒドロキシ-4(1H)-ピリジノンと1,1,1-トリス(カルボキシエトキシメチル)エタンから成る6座配位子の合成に成功した。3、合成した6座配位しと第2鉄イオンとの錯体形成能を紫外-可視吸収スペクトルを用いて評価した結果、いずれも鉄錯体に特徴的な肌CT(<m>___etal-to-ligand <c>___harge <t>___ransfer)が観測されると同時に幅広いpH領域で吸光度がほぼ一定であったことから、かなり安定な分子内1:1錯体を形成することがわかった。4、EDTAとの鉄交換反応から、6座配位子-鉄錯体の安定度定数(logK値)が28.4と算出された。5、ヒト組織球性腫瘍細胞U937を用い、5-アミノレブリン酸(5-aminolevu linic acid: ALA)投与系に合成6座配位子を添加し光照射すると細胞内のPpIXの濃度が優位に増加することがわかり、治療効率向上の可能性が示唆される結果をえることができた。
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