研究概要 |
1.(±)-キモナンシンの全合成研究 前年度に、2-(3',3'-ジ置換アリルオキシ)-3-インドリノンの(E)-および(Z)-体のHorner-Wadsworth-Emmons( HWE)反応は、オレフィン化、異性化、ジアステレオ選択的Claisen転位が連続的に進行し、2連続第四級炭素をもつ3,3-ジ置換2-インドリノンを高立体選択的に与える一般合成法として確立できた。ジアステレオ選択的連続反応を利用し、引き続き、生物活性天然物(±)-chimonanthineの全合成を検討した。対応する(Z)-2-アリル-2-ブテン-1,4-ジオールと2-プロモインドリノンとの置換反応により対応する2-アリルオキシ-3-インドリノンを合成した。これのHWE反応、異性化反応に続くClaisen転位は、ジアステレオ選択的に進行し(3S^*3^*)-3,3-ジ置換オキシインドールが得られることを明らかにした。全合成までに、還元的環化、脱保護の数段階を残すところまで達成した。 2.2連続第四級-第三級炭素のジアステレオ選択的構築法と生物活性天然物合成への応用 2-アリルオキシ-3-インドリノンのHWE連続反応を、更にオキシインドールの隣接する第四級-第三級立体中心の構築法へ展開し、spirotryprostatin B、maremycin Aの合成および、2-アリルオキシ-3-インドリノンのエノール化に誘起する連続反応についても検討した。また、生物活性化合物も視野に入れ、[4+2]環化反応を用いたtriazine-5-oneの新規合成法を開拓した。
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