研究概要 |
1、醸造食品の米種麹に含まれる抗酸化物質と血管接着分子の発現抑制効果 焼酎に広く使用されているAspergillus saitoi, A. kawachii, A. awamoriの米種麹抽出液に高いDPPHラジカル捕捉能が認められた。A. saitoiの抽出液から抗酸化物質を単離、各種スペクトルデータから pyranonigrin-A (PG-A)であると同定した。PG-Aは、米種麹の胞子形成時に生成され、穀物の抗酸化物質であるフェルラ酸とほぼ同等の活性を示すことが明らかとなった。さらに、米種麹抽出液より抗酸化物質pyranonigrin-S (PG-S)を単離、各種スペクトルデータから構造を決定した。これらのpyranonigrin類は、A. saitoi, A. kawachii, A. awamoriの米種麹抽出液に存在し、PG-SはPG-Aより高い抗酸化活性を示した。 また、PG-Aは、TNF-αで誘導されたヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVECs)において血管接着分子の発現を有意に抑制した。 2、RBL-2H3細胞のTNF-α、cyclooxygenase-2発現に関するnatsudaidainの効果 Citrus属植物から単離したnatsudaidainのrat mast cell株RBL-2H3細胞に対する効果を検討した。Natsudaidainは、100、200μMの濃度で僅かにヒスタミン放出を阻害した。TNF-αに関しては投与量依存的にタンパクレベルと遺伝子レベルともに抑制した。更にcyclooxygenase-2のタンパク発現と遺伝子発現も投与量依存的に減少させた。以上のことから、natsudaidainは、抗炎症作用を示すことが期待される。
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