研究概要 |
本研究では,薬食同源の視点から研究対象とする薬用資源として,医学体系が確立されている中国や東南アジアの伝統医学やインドのアーユル・ウェーダ医学,ユナニー医学などにおいて薬効が伝承されている天然薬物の中から香辛料食品に焦点を絞り,in vitro や in vitro 系アッセイを組み合わせた評価系を構築応用して,1)抗糖尿病・抗肥満作用成分,2)抗炎症・抗アレルギー作用成分,3)胃粘膜保護作用成分および4)肝保護作用成分を探索,解明することによって新規機能性成分の開拓を行うことを目的とする. 今年度は,当研究室が保有する香辛料食品のバイオアッセイを実施し,有効な抗糖尿病・抗肥満作用,抗炎症・抗アレルギー作用,胃粘膜保護成分を探索した.この研究過程で,ジャワナガコショウ(Piperchaba,果実)から得られたアミド成分が抗糖尿病および肝保護作用を有することを明らかにした.さらに,香辛料の西洋ワサビ(Armoracia rusticana)から得られたイソチオシアネート類に胃粘膜保護作用を見いだした.その他,ローズヒップ(rosa canina)の含有成分 tilirosideが強い抗肥満作用を有することを見いだすとともにtilirosideについて活性発現のための必須構造および作用機序の一部を明らかにするなど,平成19年度の当初計画をほぼ達成したものと考える.
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