研究概要 |
本研究では,薬食同源の視点から研究対象とする薬用資源として医学体系が確立されている中国や東南アジアの伝統医学やインドのアーユル・ウェーダ医学,ユナニー医学などにおいて薬効が伝承されている天然薬物の中から香辛料食品に焦点を絞り,in vitroやin vivo系アッセイを組み合わせた評価系を構築応用して新規機能性成分の開拓を行うことを目的とする.平成19年度において当研究室が保有する香辛料食品のバイオアッセイを実施し,ナガコショウ(Piper chaba,果実)から得られるアミド成分が肝保護作用および抗糖尿病を有することを明らかにした.今年度は,ナガコショウから得られるアミド成分の抗糖尿病作用についてさらに検討を行ったところ,retrofractamide Aやpiperlongminineが強い活性を有することを見出すとともに,活性発現のための必須構造および作用機序の一部を明らかにした.さらに,香辛料として食用に供されるタイ伝承薬物Curcuma comosa(根茎)から得られるセスキテルペン類に抗腫瘍壊死因子α(TNF-α)活性を見出した.その他,タイ産香辛料Zingiber cassumunar(根茎)にがん浸潤抑制およびNO産生抑制活性を見出すとともに,フェニルプロパノイド1'S-1'-acetoxychavicol acetateの低分子プローブの創製を試みるなど平成20年度の当初計画をほぼ達成したものと考える.
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