研究概要 |
水中で効果的に働くポリマー縮合剤の開発 テトラエチレングリコール(第1のリンカー)の両端に塩化シアヌルを反応させて得られるbisTrzのそれぞれのトリアジン環に7-oxa-5-norbornen-2-methanol(第2のリンカー)を1つずつ導入した化合物をモノマーとして,Ring Opening Metathesis Polymerization(ROMP)を利用した固定化による方法を検討した。これによりテトラエヂレングリコール鎖と第2のリンカーから開環重合後に生ずるテトラヒドロフラン部分が親水性向上に寄与するとの考えである.得られたモノマーをジクロロメタン中,Grubbs'触媒と室温下で処理したところ,速やかに重合反応が進行し,目的とする新たなポリマー縮合剤(ROMP-bisTrz-thf)を得ることができた.アミド化反応による活性測定の結果,活性点あたりの平均分子量751(1.33meq/g)と良好な導入率を示した.水との親和性の指標ともなる体積膨潤度は,前駆型(Cl体)では20%とわずかであったが,N-メチルモルホリンで活性化されたものでは270%もの増加が認められた.また4-sulfo-phenylpropionic acidとethanolamineとの水中でのアミド化反応の収率は90%を越え,期待した活性を有することが明らかになった. ポリマー縮合剤の再生の試み 既に報告している縮合剤DMT-MMの再生法に従い,ポリマー縮合剤ROMP-Trz-Clについて再生の可否を検討した。当初期待した無水トリフルオロメタンスルホン酸では再生できなかったが,オキシ塩化リンによる方法では70-80%程度の再生率が得られることを明らかにした。
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