研究概要 |
先に開発したポリマー縮合剤の適用範囲の検証および反応系内でのトリアジン型試薬の再生利用を中心とした検討を行った.水溶性向上を図った新規ポリマー試薬ROMP-Trz-thfについてTHF, MeOH,及び水中での数種の基質のアミド化反応収率を既存のポリマー,ROMP-Trz及びそのアルコール修飾型ROMP-Trz-OHと比較したところ,水中ではもちろん,有機溶媒中でも既存試薬と同等以上のアミド化活性を有し,溶媒極性に左右されずに使用できることを確認した. アミド化剤の再生については,ライトフルオラスタグを導入したモノマー型クロロトリアジンを再生対象とし,有機溶媒とフルオラス溶媒とからなる複層系の反応条件において,アミド化反応と同時に行う系中での再生法を検討した.有機層-フルオラス層の2層系での試薬再生率は170%程度であったが,U字型の反応管を用いて有機層をフルオラス層で隔て,一方の有機層にアミド化反応の基質と反応剤を,もう一方に再生剤を添加して室温下で反応させることにより,330%の再生率でアミドを得ることができた.この結果はトリアジン型縮合剤を系中で触媒的に利用できることを示しており,更なる詳細な条件検討により再生率の向上が期待できる. 一方,試薬の改良に関する研究の一端として,トリアジン型縮合剤の活性化部位である3級アミンを固定化して利用する検討を行ったところ,ジメチルアミノ基を担持したシリカゲルまたはイオン交換樹脂により,クロロトリアジンを活性化できることを明らかにした.
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