研究概要 |
ゲラニルゲラノイン酸およびゲラニルゲラニオールを基本骨格として、メチル基を持つ3置換二重結合部分を水素化して飽和に変えたものをアナログとして想定し、その一般合成法を確立するため各種検討した。 まず、ゲラニルアセトンを出発原料として、C2ホスホネートとのエモンズーホーナー反応により側鎖を延長後、臭化銅の存在下、Red-Alで不飽和エステルを1,4-還元し二重結合部分を飽和とした。続いてエステルをLAH還元しアルコールとし、更にブルム化した。このブルム体にKI存在下、アセト酢酸エチルのモノアニオンと反応後、加水分解と脱炭酸により、C5個延長したケトン体を得た。更にC2ホスホネートとのエモンズ-ホーナー反応により側鎖を延長後、アルカリ加水分解により、6,7-ヒドロゲラニルゲラノイン酸へと誘導した。またエステルをLAH還元して6,7-ヒドロゲラニルゲラニオールへと誘導した。 同様な手法によりシトロネラールを原料に10,11-ジヒドロ誘導体を、ファルネシルブロミドを出発原料として2,3-ジヒド誘導体を合成することができた。 昨年合成した、デメチル体のカルボン酸アナログの生物活性を測定した。その結果、3-デメチル体に顕著な細胞増殖抑制作用やアポトーシス誘導作用が見られた。特にアポトーシス作用は、非環式レチノイン酸よりも強い活性がみられ、この作用は受容体を介して発現しているもの思われる。
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