研究概要 |
苔類およびキノコ類より核内受容体であるヒト肝臓Xレセプターα(Liver X receptor;LXR)およびFamesoid X receptor(FXR)の活性化によるコレステロール低下薬の開発を目的として実験を行った。日本,ベトナムおよびドイツなどで採集した200種以上の苔(コケ)類およびキノコ類をエーテル,酢酸エチル,メタノールなどを用いて抽出した。それらの抽出エキスについて,核内受容体LXRおよびFXRに対する活性化作用を調べたところ,苔類ゼニゴケ,フタバネゼニゴケ,ウスバゼニゴケなど,ニンギョウタケモドキ科キノコ,ニンギョウタケ,コウモリタケ,アオロウジ,ニンギョウタケモドキ,ハナビタタケなどの抽出エキスが,強い活性を示した。抽出エキスから,シリカゲルカラムグラフィー,高速液体クロマトグラフィーなどの単離操作により,核内受容体LXRおよびFXR活性化物質の単離を行った。苔類ウスバゼニゴケから単離された大環状ビスビベンジル化合物riccardin C(RC)がLXRα部分アゴニストとして作用すことが明らかになった。そこで西日本各地で大量に採集したウスバゼニゴケより,約2.0gのRCを単離した。マウスにRCを経口投与したところ,中性脂肪を上昇させず,善玉コレステロール(HDL)を上昇させる作用を示した。苔類ゼニゴケ,フタバネゼニゴケより得られるmarchantin A(MA)およびmarchantin E(ME)が,FXRアゴニスト作用を示すことが明らかになった。ニンギョウタケモドキ科キノコ,ニンギョウタケからはFXR活性化物質として,鍔rifblinが単離された。そこでgrifolinの化学変換および微生物変換により,誘導体の合成を行った。
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