研究概要 |
苔類およびキノコ類より核内受容体であるヒト肝臓Xレセプターα(Liver X receptor; LXR)およびFarnesoid X receptor (FXR)の活性化によるコレステロール低下薬の開発を目的として実験を行った。日本などで採集した200種以上の苔(コケ)類およびキノコ類の抽出エキスについて,LXRおよびFXRに対する活性化作用を調べたところ、苔類ゼニゴケ、フタバネゼニゴケ、ウスバゼニゴケ、ニンギョウタケモドキ科キノコ、ニンギョウタケ、コウモリタケの抽出エキスが、強い活性を示した。抽出エキスのシリカゲルカラムグラフィー、高速液体クロマトグラフィーなどの単離操作により、核内受容体LXRおよびFXR活性化物質の単離を行った。すでに苔類ウスバゼニゴケのriccardin C (RC)がLXRα選択的アゴニストを示すことを報告した,そこでRCのメチルエーテル化などにより8種の誘導体の合成を行い,LXR活性化試験を行ったが,すべての誘導体にはアゴニスト活性が認められなかった.RCのLXRαアゴニスト活性には,3つの水酸基が重要であることが明らかになった.RCのプロドラッグとしてRCの配糖化を検討中である.苔類ゼニゴケ、フタバネゼニゴケより大量に単離されるmarchantin A (MA)およびmarchantin E (ME)が、FXRアゴニスト作用を示すことが明らかになった.これまでに天然から得られているFXRアゴニストは胆汁酸関連化合物であり,今回活性を示したMAおよびMEは,芳香族化合物であることから,その構造活性相関に興味が持たれた.そこでMAおよびMEを大量に単離・精製し,誘導体の合成を行った.それらの生理活性については現在検討中である.
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