研究課題/領域番号 |
19590043
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
合田 浩明 北里大学, 薬学部, 准教授 (60276160)
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研究分担者 |
広野 修一 北里大学, 薬学部, 教授 (30146328)
山乙 教之 北里大学, 薬学部, 助教 (60230322)
中込 泉 北里大学, 薬学部, 助教 (30237242)
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キーワード | ドラッグデザイン / キチナーゼ / ドッキング計算 / 阻害剤 |
研究概要 |
環状ペプチド性キチナーゼ阻害剤Argifin(およびArgadin)と霊菌キチナーゼB (ChiB)の複合体X線結晶構造を用いて、以下の分子設計研究を行った。 1Argifinの分子構造最適化:Argifinの阻害活性(IC_<50>=6.4μM)は弱く、その構造はまだ十分に最適化されていない。そこで、先ず、ChiBに対して強い結合親和性(すなわち阻害活性)が期待できるArgifin誘導体をコンピュータ上で分子設計した。すると、ArgifinのD-Asp(4)に4-ベンジルピペリジンを付加した誘導体(1)、およびD-Ala(5)を嵩高い側鎖を持つアミノ酸(D-Val、D-Leu、D-Met、D-Phe、D-Trp)で置換した誘導体(2)~(6)において、結合親和性の改善が期待できた。そこで、最近確立されたArgifin全合成経路を利用して誘導体の合成を行い、さらにChiBに対する阻害活性の測定を行った。その結果、誘導体(1)、(3)、(6)が、実際にArgifinより強い阻害活性を有することがわかった。さらに、誘導体(1)と(3)を組み合わせた誘導体(7)が、Argifinより約30倍強い阻害活性(IC_<50>=0.23μM)を示すことがわかった。 2Argadinに基づいた非ペプチド性キチナーゼ阻害剤の分子設計:昨年度、我々は、Argadin-ChiB相互作用様式に基づいて、14員環マクロライド骨格を有する新規な非ペプチド性キチナーゼ阻害剤をコンピュータ上で分子設計した。そこで、本年度は、ドッキング計算で得られた非ペプチド性阻害剤とChiBの複合体モデル構造について、水溶液中での分子動力学計算およびMM-PBSA法を用いた結合自由エネルギー計算を行った。その結果、我々が分子設計した非ペプチド性阻害剤は、Argadin(Ki=20nM)に匹敵する強い結合親和性、すなわち阻害活性、を有する可能性があることがわかった。
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