I.DNAマイクロアレイに使用するプローブの標識方法の改変について DNAマイクロアレイに使用するプローブのCy3、Cy5標識に関して、従来は1step法により行ってきたが、標識効率が異なることから、その補正が問題となっていた。そこで、今回2step法による標識を行いその標識効率を検討した。まず、最初のstepでアミノアリル化されたヌクレオチドを取り込ませた後、アミノアリル基に対して、反応性の高いNHS基を持つCy3 NHS-エステルあるいはCy5 NHS-エステルをカップリングさせることで、サンプルに蛍光標識を行った。その結果従来の1step法での蛍光標識間のバイアスがほとんど無くなった。 II.複数のマイクロアレイ間でのシグナルの補正 相関解析法においては複数のマイクロアレイのデータを相互比較する必要があるが、比較のための内部標準ついて検討した。検討したものは、一定量加えたラムダファージDNA、アクチンDNAである。あらかじめ高い相関が得られることが分かっているヒトB細胞株に対する細胞表面のCD77の発現と関連する遺伝子発現プロファイルを用いて検討した結果両者には大きな違いはなかった。おどろいたことに、これらの内部標準を用いずに、DNAスポットの総和を用いたΣ補正の方がこれら両者よりも若干良好な結果を得たので、この後はΣ補正を用いることとした。 III.相関DNAマイクロアレイの応用 リンパ球のホーミングに関与するセレクチンのリガンドとして機能しているシアリルルイスXの発現に関与する糖鎖遺伝子の特定を相関解析DNAマイクロアレイ法で行ったところ、シアリルルイスX合成に関与すると予想されるいくつかの糖鎖遺伝子が高い相関係数を示した。また、細胞表面の糖鎖発現に対するもの以外について検討を加えるため、サイコシンの細胞分裂阻害作用の強さと、遺伝子発現の相関を求めるための基礎的な検討を行った。
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