研究課題
メタボリックシンドロームの発症要因である肥満や高脂血症は、動脈硬化症や脂肪肝をも引き起こし、こうした病態では顕著な脂肪蓄積と脂肪滴形成が見られる。細胞内脂肪滴は生理的な組織,細胞にも普遍的に存在し、脂肪滴は病変初期から脂質代謝異常を反映して変化する可能性が考えられる。そこで本研究は、脂質の輸送・蓄積・利用を担う構造体である脂肪滴の性状と機能の解明を目的とした。予備的検討から、絶食時のマウス肝臓において脂肪滴局在タンパク質であるアディポフィリンが顕著に増加し、誘導されたアディポフィリンが通常の脂肪滴よりも高比重の画分に出現することを見出している。コリン・メチオニン欠乏食で誘導した非アルコール性脂肪肝炎モデルマウスの肝臓でも同様の変化が観察された。この画分には、小胞体シャペロンBip/GRP78や脂肪酸不飽和化酵素scD・1の存在が検出された。また、アディポフィリンの増加に対しトリグリセリドの増加は軽微であり、hpid-poorな脂肪滴コア状の構造体である可能性が考えられた。培養肝細胞HuH-7にオレイン酸などの脂肪酸を添加すると、アディポフィリンが誘導され、細胞内脂肪滴が形成される。ところが、絶食時の肝臓で見られた、hpid-poorなアディポフィリン陽性の脂肪滴の形成がほとんどみられない。このことから、in vivOにおける脂肪滴形成には、脂肪酸の供給に加えて何らかの要因が関わっていることが推測された。絶食時の血糖値の変動に注目し、RuH・7細胞に脂肪酸とともにグルカゴンを添加したところ、hpid-poorな脂肪滴の形成が見られた。一方、培地中のグルコース濃度の低血糖状態に近づけてみたが、グルコース濃度の影響はほとんど見られなかった。これらの結果から、細胞内の脂肪滴形成を伴う脂肪蓄積には、ホルモン依存性の調節機構が関わっていることが強く示唆された。
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