研究課題/領域番号 |
19590077
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
戸部 敞 昭和大学, 薬学部, 教授 (90102368)
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研究分担者 |
中野 泰子 昭和大学, 薬学部, 准教授 (20155790)
谷岡 利裕 昭和大学, 薬学部, 助教 (80360585)
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キーワード | アンジオテンシン IV / アディポネクチ / インスリン / シグナル伝達 / ERKl / 2 / PI3K |
研究概要 |
アンジオテンシ(Ang)IVによるアディポネクチン分泌制御機構を解析した。まず、脂肪細胞をAng IV刺激するとアディポネクチン分泌が顕著に上昇すること、また、1r8〜10-10 Mの濃度で上昇効果が認められることを見出した。さらに、インスリン+Ang IVの共刺激によりその効果は相加的に上昇した。このことから、Ang IVはインスリンシグナルに何らかの影響を及ぼしていることが考えられた。次に、Ang IV刺激により分泌量が上昇していたので、細胞内アディポネクチンあるは遺伝子レベルが変化しているのかに関して検討した。その結果、細胞内のアディポネクチン量はAng IV刺激により変化は認められなかった。一方、アディポネクチンの遺伝子発現レベルをプロモーター活性およびリアルタイムPCR法にて定量した結果、それぞれの解析でAng IV刺激により約2.5倍の上昇が認められた。これらのことより、Ang IVは分泌過程において何らかの影響を及ぼしていることが考えられた。さらに、Ang IVシグナル伝達機構に関してリン酸化酵素の変動を検討した結果、Ang IV刺激15分後にERK1/2の活性化を認めた。一方、JMやp38MAPKに関してはほとんど効果を示さなかった。また、Ang IV誘導アディポネクチン分泌に関与する酵素を同定する目的で阻害剤実験を行なった。その結果、ERK1/2の阻害剤PD98059およびPIK阻害剤LY294002処理によりAng IV誘導アディポネクチン分泌能が顕著に抑制した。これらのことから、Ang IVシグナルにおいてERK1/2およびPI3Kの活性化が重要であることが示唆された。以上の結果は、Ang IVはアディポネクチン分泌上昇作用を有していること、また、インスリン感受性作用がある可能性を示唆している。現在、インスリンシグナルを中心に解析を行っている。
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