マクロファージは、生体内で常に産み出されているアポトーシス細胞を迅速に貪食除去している。また、この貪食応答に伴って貪食巣に好中球が浸潤してくること、この好中球がマクロファージによるアポトーシス細胞の貪食除去を助長していることが明らかとなっている。今年度は、どのような好中球(亜集団)がマクロファージおよび未熟樹状細胞に働きかけ、活性化を助長するのかを解明するための好中球側からのアプローチを中心的に行った。具合的には、貪食巣に浸潤してくる好中球を細胞表面抗原であるGr-1、CD11b、CD49d、およびLy49Qの発現パターンにより識別し、静止状態の好中球として用いた骨髄好中球と比較検討した。その結果、マクロファージ貪食能に対する助長効果は、骨髄好中球よりも浸潤好中球のほうが顕著であり、またこの効果は、trans-well assayにより好中球とマクロファージの相互作用を阻害すると、著しく低下することから、好中球とマクロファージとの相互作用が重要であることが分かった。またこの現象は、同様にアポトーシス細胞を貪食する未熟樹状細胞における貪食応答においても観察され、好中球が貪食応答全般に対して積極的に助長する機構を有していることが強く示唆された。
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