研究課題/領域番号 |
19590085
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
高橋 典子 星薬科大学, 薬学部, 教授 (50277696)
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研究分担者 |
今井 正彦 星薬科大学, 薬学部, 助教 (40507670)
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キーワード | ビタミンA酸 / レチノイレーション / HL60細胞 / レチノイル化 / レチノイン酸 / 蛋白質修飾 / 免疫染色 / 検出法 |
研究概要 |
本研究は、生体へ多岐にわたる作用をもたらすレチノイン酸(RA)の核内受容体を介さない新作用機構(レチノイレーション、 RAによる蛋白質修飾反応)を解明し、新しいシグナル伝達機構を明らかにすることを目的としている。前年度、 RA抗体を用いる新規レチノイル化蛋白質検出法の最適化を行い、短時間で高感度に検知できる方法を確立した。今年度本法を用いて、ヒト前骨髄性白血病細胞HL60細胞のレチノイル化蛋白質を検出・同定することを試みた。先ず、HL60細胞抽出蛋白質をMonoQカラムクロマトグラフィーで分離後、一次元ポリアクリルアミドゲル電気泳動法(PAGE)で分離し、 RA抗体を用いてイムノブロットを行った。その結果、数種の未知の蛋白質が検出された。そこで、 MonoQで0.4M NaCl付近に溶出する陽性蛋白質(分子量:100KDa)を二次元PAGEで分離し、RA抗体で免疫染色された蛋白質に対しアミノ酸配列解析を行ったところ、3ペプチドの配列がα-アクチニンと一致した。よって、 RAはα-アクチニンと共有結合していることが明らかとなった。また、核内蛋白質をRA抗体でイムノブロットしたところ、数種類のRA結合蛋白質が認められた。さらに、 RA処理により、 ProQ Diamondで染色される核内リン酸化蛋白質は変動していた。現在各々の蛋白質を定量し、 TOF-MASSで同定を行っている。以上の結果から、癌の浸潤・転移を亢進させ、核移行、転写因子との相互作用することが知られているα-アクチニン或いは転写調節因子等を含む核内蛋白質とRAの共有結合形成が明らかとなり、リン酸化との相互作用が示唆された。
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