研究概要 |
ARK5のリン酸化部位のリン酸化ペプチドを抗原として、リン酸化ARK5を特異的に認識する抗体を作成し、がん組織でのARK5の活性化を迅速・簡便に検出するため、得られた抗リン酸化ARK5抗体を用いた酵素免疫定量法(ELISA)を確立することを目的とした。ARK5はヒトのアミノ酸一次構造から、Thr211/Ser600がリン酸化部位である。Thr211はNdr2でSer600はAKTによるリン酸化部位である。まず、ARK5の上位タンパク質リン酸化酵素AKTによるリン酸化部位であるKLH-SVLSSDSFDLLDLQENRPARQRIRSのC末端のセリン残基のリン酸化ペプチドをウサギに免疫して得られた抗体を、免疫に用いたペプチド配列の非リン酸化およびリン酸化ペプチドを抗原として用いたELISA法により抗体価とそれぞれの特異性を検討した。その結果、リン酸化ペプチドに対して100,000倍以上の抗体価が得られ、リン酸化ペプチドに特異的に反応し、非リン酸化ペプチドとは全く反応しない抗体を得ることができた。ARK5のSer600の抗リン酸化抗体作成の成功により、本研究の活性化の迅速・簡便な検出法の開発の目標をほぼ達成したと考えられる。現在、得られた抗Ser600リン酸化ARK5特異抗体を用いた細胞内でのリン酸化の動態、がんの臨床材料を用いた悪性度とARK5リン酸化との関連性を、ELISA法を用いて検討するとともに、その活性化を阻害すると考えられる抗酸化剤や新規化合物の多検体スクリーニングを行い、ARK5を介したがんの進展抑制薬の検索を行っているところである。
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