研究概要 |
1)ボロンソースとして用いるカルボラン誘導体の合成 o-carboranylalanine、 propargylalanineの合成。グリシンを出発原料として、propargylbromideによるアルキル化を経て、アシラーゼによる光学分割を行い(+)-or(-)-propargylalanine、続くcarboranylationによる(+)-or(-)-o-carboranylalanineの合成検討を行った。ω-(1-o-carboranyl)-alkylalcohoおよび、ω-(1-o-carboranyl)-alkylcarboxylic acidの合成。ω-alkynylalcoholの水酸基に保護基を導入し、carboranylationを行い、脱保護することでω-alkynylalcoholを合成し、得られたアルコール体を酸化することでω-(1-o-carboranyl)-alkylcarboxylic acidを合成した 2)インテグリン選択的受容体親和性RDGペプチドを有するボロンキャリアの合成 RGD配列を有するpenta-cyclicpeptideの合成。合成ルートを検討した結果、Fmoc法による固相合成が最適であると考え、市販の2-chlorotrityl chlorideにFmocアミノ酸を導入し、つづく固相合成を行った。10BSH(sodium1-mercapto-closo-dodecaborate)を硼素源としたボロンキャリアの合成のため、上記で合成したcyclic peptideとBSHをつなぐためのリンカーを合成した。硼素源として、o-carborane誘導体とBSHを用いて、cyclic peptideとカップリングすることで、新規ボロンキャリアGPU48,49,51,80の合成を行った。 3)合成したボロンキャリアの脂溶性評価 得られた化合物をODSプレートを用いた方法により、合成した化合物、cyclo-[RGDfK],GPU48,49,51,80ならびに、現在BNCT研究において汎用されているBSHの脂溶性の評価を行った。 4)合成したボロンキャリアのMTTassayによる細胞毒性評価 一般的な抗がん剤はがん細胞、正常細胞を問わず、強力な細胞毒性を有しており、時にはそれが副作用として発現し、問題となることが多々ある。しかし、BNCTにおいては、10B原子への中性子の照射により初めて細胞障害性が発現するため、ボロンキャリアそのものに毒性が低いことで、副作用の軽減につながり、BNCTの有用性をさらに高めると考えられるため、今回MTT assayによりin vitroでの細胞毒性を調べた.その結果GPU51,80はcyclo-[RGDfK]よりも低毒性であることが明らかになった.
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