研究概要 |
本研究では,より微生物学的に安全な透析液を供給するために,これまでに申請者が検討・開発してきた蛍光活性染色法や分子微生物学的手法を用い,透析液およびその調製システムにおける細菌現存量と細菌群集構造の変化を明らかにし,透析液の迅速・高精度な微生物管理法を提案することを目的とする.平成19年度の成果は以下のとおりである. 1)透析液および調製システムにおける細菌現存量を迅速・高精度に測定し,またその生理状態を評価するために,蛍光活性染色法およびマイクロコロニー法を用いた. その結果, (1)原水に比べて活性炭処理後に細菌現存量が増加し,また細菌の生理活性が上がること, (2)ROモジュールを通すことにより,細菌現存量は大きく減少すること, (3)RO水をタンクに貯留することにより,再び細菌現存量が増加すること が,わかった. 2)上記の結果より,調製システムの適切な管理には,蛍光活性染色法を用いた細菌モニタリング法が有効であることを示した. 3)透析液中の細菌の現存量は,一般的な水環境に比べて,はるかに少ない.そこで,新たに開発された細菌数自動測定システムを用いて,極少量(数cell)の細菌を検出するためのプロトコールを作成した. 4)透析液中の細菌群集構造解析にあたっては,透析液中の細菌現存量が少ないことから,細菌のDNAを効率よく抽出し,また微量のDNAを偏り無く増幅させることが重要であった.
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