"医薬品とプロバイオティクスの相互作用"について、in vitroからjn vivoまでを包括的に評価することを目的に、研究を遂行した。 初年度は、ヒト消化管のモデルとして3週間培養したCaco-2細胞、プロバイオティクスとして、代表的な腸内細菌であるLactobacillus属のLactobacillus casei (L.casei)を用いて、薬物代謝酵素(CYPs、UGTs、SULTs)および薬物輸送担体の遺伝子発現や機能に対するプロバイオティクスの影響について評価を行った。 Caco-2細胞にL.casei(10^6〜10^9CFU/mL)の培養浪および濾液を24〜96h暴露し、α-Naphtholからのグルクロン酸抱合体(NAG)および硫酸抱合体(NAS)の生成量を指標に、UDP-グルクロン酸転移酵素(UGT)および硫酸転移酵素(SULT)活性を測定した。さらにCaco-2細胞からmRNAを抽出し、Real-time PCRによりUGTおよびSULT遺伝子の発現を解析した。その結果、NAGの生成量はL.caseiの濃度依存的に有意に減少することが明らかとなった。さらに、UGT活性の阻害物質はL.caseiが産生する分子量1万以下の低分子であり、阻害は遺伝子の転写レベルではなく、酵素に対する直接作用である可能性が高いことが示唆された。一方、NASの生成に対するL.caseiの影響は観察されなかった。 今回得られた結果は、L.caseiを含む食品の摂取により、消化管でのUGT活性の低下が起こり、経口薬の効果や副作用に影響を与える可能性を示唆した。 次年度以降も、本研究を継続し、更にL..caseによるこれら制御機構について検討を行うとともに、さらにin vivoでのプロバイオティクスの効果に着目し、評価を行う。 次年度以降も、本研究を継続し、更にL.caseによるこれら制御機構について検討を行うとともに、さらにfn vivoでのプロバイオティクスの効果に着目し、評価を行う。
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